吉祥寺ではカップルがフォークダンスを踊る
先日、うまれて初めて吉祥寺へ行きました。
井の頭公園へ向かう道すがら、フォークダンスを踊りながら歩くカップルがいました。
男女で前後に並んで、肩の上で両手をつなぎ、何メートルか進むと女の子がくるりと回る。
幸せそうな女の子、どこか誇らしげな男の子。そして聞こえる楽しそうな笑い声。
下手したら10歳は年下であろうそのカップルの姿に、羨めばいいのか、悔やめばいいのか、わたしはわかりません。
ありふれた情景だろうに、かつてはわたしにもそんな瞬間があっただろうに。
思い出されるのは5年前の横浜です。
当時は派遣のOLをしていて、デートの相手は大学生だった男友達でした。
ご飯を食べて、お酒を飲んで、駅に向かう帰り道。
週末の予定を聞かれたわたしは、何の気なしに「○○さんという男性と会うよ」と答えました。
きっと言い争いになったのでしょう。
怒った大学生は急に一発、私のお腹を殴りました。
今までとは打って変わった低い声で「いい加減にしろよ!」と怒鳴った彼の顔はもう忘れてしまったけど、わたしの中に残る大学生の記憶なんて、そんなくらいです。
なぜだか吉祥寺の路上で踊るカップルをみたとき、わたしは彼に謝罪をしたくなったのです。
穏便な彼がそんなに怒るくらい、悪いことをしたのだなぁと。
でもあいつクソだったなぁ。
ところでわたしは地方の出身なのでとにかく歩くのが遅い。
フォークの歩調は田舎者と相性が良いという、いらない悟りを得た田吾作でした。
腹パンは後にも先にも一度しかされていません。
おやすみなさい。